フラッグを、ポケットに
フラッグをそもそも持ち込めるのかどうか。それすら分からないまま、会場に入った。
ポケットに入るサイズまで折りたためるし、危険な金属類でもない。セキュリティチェックは……セーフ!
席は最前列中央。メンバーの機材が、目の前にある。オープニングアクトが終わり、いよいよStray Catsの出番だ。興奮と、変な緊張とが入り交じる。
目の前に、Stray Cats
SEが鳴り、メンバーが登場した。
言葉にできない感情とは、まさにこういうことを言うのだろう。これまで感じたことのない嬉しさと、涙が込み上げてくる。
幼い頃に出会って、数十年。ずっと自分の憧れだったStray Catsが、目の前で演奏している。しかも、こんなにも近くで。
けれど感動の半面、頭の中にはずっとミッションがあった。フラッグを掲げなくてはならない。でも、出した瞬間に退場になるかもしれない。その恐怖とが混ざり合って、自分でもよく分からない状態だった。
頭の中がごちゃごちゃのまま、7〜8曲。夢のような時間が過ぎていく。
そろそろ、やるしかない!
広げた瞬間
座席に置いていたフラッグを広げる。
すぐさま、ステージ前に立っていたセキュリティスタッフが寄ってきた。緊張、MAX。
スタッフはフラッグに目を通し……去っていった。
大丈夫だ!
Stray Catsのメンバーも、時折こちらを見ている。確実に、フラッグを見ているのが分かる。伝わってくれ、この思い!
ところが途中、同級生と二人でフラッグを持ったときだった。再びセキュリティスタッフが寄ってきて、指を差しながら、何やら英語で注意された。。
終わった・・・
もう一度、少しずつ
一旦、フラッグをしまう。やっぱり駄目だったのか。もしかすると、メッセージが良くなかったのか。気持ちが複雑すぎて、せっかくの演奏もあまり入ってこない。
どれくらい時間が経っただろう。演奏を聴きながらも、頭の中はフル回転だった。そもそも本当に駄目なら、最初に広げた時点でアウトのはずだ。
そうか。同級生と一緒に広げたことで、「2席使うな」という意味だったのかもしれない。そういえば、椅子を指さしていたし。
そう判断して、恐る恐る、まずは小さめに広げてみる。もうこの時点で、演奏は私の心に届いていない。
小さめに広げては閉じ、ちょっと大きく広げては閉じ。それを繰り返して、復活・・・大丈夫だ!
フラッグが、手から離れた
あわよくばMCで触れてくれ、Brian! そんな期待をしながらも、あっという間にアンコールも終わり、ついに最後の曲が終わった。
大歓声と拍手に包まれて、メンバーが並んで会場に挨拶をしている。
その瞬間、最前列の右の方にいた別の日本人が、お土産のようなものをBrianに手渡した。
「マッキーも渡せ!!!」
隣から、同級生の声。
勢いのままフラッグを前に差し出すと、Brianが手を伸ばした。フラッグが、私の手から離れていく。
そして、Brianがステージの上で、フラッグを広げてくれたのだ。
こんな奇跡が、起こるのか!
ナイスキャッチ、そして祝い酒
余談だが、ショーが終わって席を離れるとき、ステージにいたスタッフがBrianのマイクスタンドからピックを取り、客席に投げた。絶妙な位置にいた私が手を伸ばすと……ナイスキャッチ!
ホテルでの夜。同級生との祝い酒の勢いもあって、号泣した。神様、ありがとう!
宮古島で情報を待っている仲間たちへ報告すると、瞬く間にSNSで拡散されていった。
無謀なチャレンジだということは分かっている。それでも、宮古島にStray Catsを呼ぶための、ほんの小さな小さなきっかけが生まれた。これはもう、動くしかない。
実現までの道のりを、ここに残す
1年か、2年か、それ以上か。実現までにどれくらいの時間がかかるのかは、まったく分かりません。
それでも、この思いをひとつのプロジェクトとして、記録していきたいと思っています。
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